The Benkyoukai

“ The Benkyokai ” から始まった新型の日英交流
~ 豪徳寺とBarnesのTwinning Towns ~

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東京勉強会の皆さんは、ロンドンに滞在された経験を共有しておられる。それは仕事であれ家庭生活であれ、異文化の中に身を置いて、価値観の異なる他者とのコミュニケーション(Cross Cultural Communication)を体験されたことを意味する。異質の価値観・状況との遭遇は困難をもたらすことが多いものの、時には大きな機会をもたらすものだ。
ロンドンでの6年間を振り返ると、「子供や孫の世代は大切過ぎて何にも替え難い。他人の子も自分の子も同じだ。」という思いは異文化であろうと変わらない。我々は人類という類に属しているのだから。
このような親達の思いにも橋を架け、「異なる世代をたすき掛けに結ぶ重層的なコミュニケーション」(Cross Generation Communication)を異文化コミュニケーションに織り込むことは、人類の共有する課題(環境・健康・自由・平和・雇用)を分かち合う21世紀初頭、“Sharing”の時代に有効と思われる。
The Benkyokai に感謝!

2013.3.11
日本記者クラブにて

発表者:松坂たかよし(1940年生まれ、豊橋市)
   ・ 東京成徳大学経営学部教授、図書館長兼務
   ・ 電通(1964~2000)アジア・マーケティングディレクターから現職へ
   ・ 1973年10月から1980年2月まで電通ロンドン支局、後半は支局長
      The Benkyokai で1975年から1980年まで学びました。
   ・ 日本マーケティング学会員(国際部会委員)、FCCJ会員、日本福祉心理学会、
   ・ 日本おもちゃ図書館財団創設(Toy Libraryコンセプトを英国から、財団参与)
・ 玩具福祉学会理事、玩具療法士会代表(厚労省)
   ・ こども支援士(文科省)、日本こま回し普及協会会員、
・ RSAF(The Royal Society for the encouragement of Arts, Manufactures & Commerce)Fellowとして教育・こども支援の分野で今後仕事をする積りです。
1. それは、Utz Reiff –sanとの出会いから始まった
1974 Royal Exchange Stock Market の石段に仁王立ちで待っていてくれた
   保険・リスクマネジメントなどライフさんから学ぶ
2. The Benkyokai に初参加(1975  Reiff-san の紹介)
朝日新聞ロンドン支局のオフィスで、青木さん、箱島さん、伊藤さん、にご挨拶。
座長は大庭さん、ほかに野村総研の村上輝康さん、など一業種一社の10人前後。
当時の課題:
・中東問題・・・イラクが問題を起こすのでは、といった予測・予見的な議論
・日英関係・・・バランスのとれた貿易収支を模索して
・教育問題・・・解りにくい英国の教育制度だが、なにか良さそうだ。日本は?
・日本の国際化・・・Prof. Ronald Dore から60分講義。
       “ 文化といえばヨーロッパ文化のこと、この普遍的な価値観を
        身に着けること。“
        Q&Aにはいって、特別参加の加藤駐英大使から:
        “我々、日本の外交官はどの国よりも勉強していると自負している  
         が、いざ!と言う時、判断が出来ないのは何故でしょうか?“
          Prof.Dore:“スポーツに運動神経が必要であるように、外交・国際ビジネスには国際神経が不可欠。”
        加藤大使:“その国際神経は、どうしたら身に付けることができます   
        か?“
        Prof.Dore: “ここにいる皆さんには無理です。手遅れです。国際
        神経は、小さい時から一緒に遊びながら自然に身につくもの。毎年、
          5,000人の子供達が、海外から帰国するけれど、文部省は帰国子女を“問題児”扱いして日本の教育軌道に戻そうとしている。子供達の宝物のような体験(国際神経)が生かされていませんね。
 この議論の後、“日本全国の中学・高校にネイティヴの英語の先生を招聘しよう!”との
結論が出て、朝日新聞さんが動いてくれたと思います。しばらくして、この提案が実現。 
当時、 加藤大使は、大使らしからぬ大使として英国メディアの評価は高かった。

 U.K.進出日本企業の間では、日本本社にInternational Communication Division を創設、
ビジネスだけでなく、社会・文化の相互理解を促進する努力がみられた。Summit meeting
が始まったのもこの頃。Heath首相を招き日本企業のトップ50人にセミナー実施(電通)

3. Reiff-sanの紹介でMrs.Janet Falushに東京で会う(1993年)
ヨーロッパ(EU)の日本市場進出促進を目的とする“EU日本市場研修団”が毎年
40人規模で日本に来ていた。(語学1年、実務研修1年の2年滞在が標準)
ほとんど企業から派遣される研修団で、日本の消費者市場を研究したい人たちを電通が毎年3~4人受け入れていた。これらを背景に、EU派遣ではないが、日本の金融市場を短期研修したい英国女性がReiff-sanの紹介で電通の松坂MDに会いに来られた。
研修を終えた夕方、銀座の“らん月”で一席をもうけた:
“僕の住んでいる世田谷の豪徳寺2丁目は、彫刻家(佐藤)・江戸風俗研究家(三谷)・仏教研究家(丸山)・仏像修復家(明珍)・など文化人が多く、外国人も住んでいます。お金持ちは居ないけど。”(松坂)
“私の住むBarnesは、テムズ河岸沿いで、絵描き、俳優、BBCテレビのコメンテイターなどが住んでいます。文化人が多い点は似ていますね。”(Janet)
“では、姉妹村関係を創りましょう!”(松坂・Janet)

ここで:
Power Point による姉妹村関係騒動記(GCA-BCA Twinning Towns)紹介(松坂制作)
 1995年7月、豪徳寺2丁目の16名がBarnesを訪問、1週間ホームステイして、幼稚園・小学校、高校、レゼルボワール、スポーツ施設、ごみ処理システム、
町営の英語学校、など学んだ。
 1997年7月、豪徳寺2丁目の12人が、Barnes Festival にて「野点」開催。
      ホームステイ先のMrs. Duda Carrの家でハプニング。
      U.K. Toy Library Association の事務局長、Glenys Carter から電話。   
 1998年 豪徳寺2丁目婦人会10名が、Mr. and Mrs. Graham Fry(マレーシア高等弁務官)を訪問、マレーシアのコミュニティーと交流。
 1994年から2000年にかけて、Barnes から様々なビジネスマン、学生、高校生、日本への旅行者が豪徳寺を訪問。 豪徳寺が茶室を開放してくれた。ホームステイの受け入れ家庭が少なく唯一の難点。

4. 相手の村にあるスゴイ学校“St.Paul’s School”と 松坂の母校“時習館高校”を結ぶ(2007)
“僕らは、時習館卒業50周年記念の式典を2009に担当するが、校長をやった小野田君は、生徒の立場で何を望むか?”(松坂と同期の周年事業委員達)
“先輩が、記念碑や植樹やピアノなど、たくさん寄付してくれた。もう置く場所がない。目に見えない、価値ある何かをくれ。”(同期の小野田元校長)
“わかった。では、われわれが在学していた頃、熊谷校長が教育理念に加えた国際人の養成を具現化するお手伝いをしよう!”(松坂)

時習館卒業11回生が、コーディネートして、両校に100万円ずつ贈り、その範囲
で短期相互訪問を行う。(松坂はLink person, 先方は、Janet、とCollison先生)
時習館11回生卒業50周年事業:
*2007年11月 松坂(11回生)がSt.Paul’s School, Martin Stephen校長と懇談、書面で交換留学を決め、実施プランへ。
          両校ともに、PTAや地元コミュニティーと連携しながら。
このプラニングで体験した想定外の困難は、相互訪問のスケジューリング。両校とも
名だたる進学校ゆえに授業・試験の年間スケジュールを崩せない。

*2009年7月1日~10日 St.Paul’s 男子生徒3人と先生一人来日
               富山・京都・豊橋・東京
*2010年3月21日~4月1日 時習館女子生徒4名と先生一人が訪英
時習館OB会支援になり時習館高校が主体的に交流を続ける:
2010年10月 St.Paul’s 男子校生徒3人と先生一人来日
2011年3月  時習館  男子生徒2人、女子生徒3人、先生一人訪英
文部科学省がこの交流に着目、コアSSH(Super Science High School)校に選ぶ。
2011年10月 St.Paul’s 男子校生徒4人、女子高生徒4人、先生3人来日
2012年3月  時習館35名、岡崎高、旭ヶ丘高、刈谷高、総勢67名が
         訪英、St.Paul’s School にて研究発表会、英語でQ&A
2012年10月 St.Paul’s 男子校生徒4人、女子高生徒4人、先生3人来日
2013年3月  時習館8名ほか他校の22名の生徒が訪英の予定(コアSSH)

St.Paul’sの提案を受けて、ドイツの「オット・フォン・タウ・ギムナジウム高校」
とも提携、3校の共同研究に発展。また、時習館は国内で、2012年の国立大学
(理系・医学部系)進学率で全国10位。国際交流は大学入試に影響なし。 

5. この両校の交流を支えた地域の人達
*Sir Graham and Lady Toyoko Fry ( 駐日英国大使 2007~2009 )
  駐日英国大使歓迎・駐英日本大使(野上)の歓送迎会(品川プリンスH)にて:
“英日関係の唯一の問題点は、問題がないという問題です。私たちの仕事の多くは、
 普通の市民の方々の働きに支えられていますから、一緒に、創意工夫に満ちた
より良い関係を発展させていきましょう。“(フライ大使)
   大使のご子息は、St.Paul’s Schoolの日本語コースで学んだ。
  *Janet and Peter Falush, BCA-GCAのリンクパースンとして貢献
* David and Margaret Minch,(元世界銀行理事) など、BCAのリーダー達。
*Mrs.Hawken( Barnes English Schoolの校長)、これまで延べ10人以上の
 学生・生徒を受け入れてくれた。
*豪徳寺2丁目町内会、折橋ご夫妻、ほか。

6. まとめ
*“Change comes from outside!”
 豪徳寺2丁目町内会は変わった。女性の町内会長出現! 現在も。

*世代をクロスする異文化交流は、互いに親しみを増し信頼を深める。
 ホームステイがもたらす家族ぐるみの交流の威力。
 (Daniel Falush 君 と 尾高真理さんの結婚)

*留学は、大学に入ってからでは遅い。
 国際的に高校生年齢での交換留学が拡がっている。
 (EUの主要国では、国際青年商工会議所メンバー間で互いに子どもを預かっている)

*国際神経を育む教育環境を拡げる。
 幼稚園・小学校低学年のこども達に、遊びや音楽を通して国際語(英語)に馴染む機会を拡げる必要がある。

*The Benkyokai に感謝!
 今年の6月~7月に、ロンドンの友人達を訪ねます。90歳を越した方もおられ、頂くクリスマスカードの字もそのように見えます。お会いして親しくお話しする最後の機会かもしれません。私の場合、なにもかもThe Benkyokaiから始まっているのです。

以上 

松坂たかよし

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